建設業許可における「一般建設業」と「特定建設業」の区分は、建設業者が「発注者から直接請け負う工事(元請工事)」において、「下請代金の総額」が一定規模以上になるかどうかで決まります。
建設業者として元請となり、より大きな工事を目指す場合には基本的には特定建設業の取得を目指す必要があります。
ただし特定建設業には一般建設業以上の大きなハードルが課せられています。
2026年現在、建設業界の人手不足や資材高騰、そして適正な取引の確保を目的とした法改正が続く中、この区分の理解はコンプライアンス遵守の観点からも極めて重要です。
ここでは一般建設業と特定建設業の違いを詳しく解説します。
1. 区分を分ける最大の基準:下請契約の規模
一般建設業と特定建設業の最も重要な違いは、「元請として受注した1件の工事において、下請業者に出す代金の合計額」にあります。 工事金額の一部または全部を下請業者に出す金額が一定の金額を超える場合に特定建設業の許可が必要となってきます。
- 特定建設業許可が必要なケース
元請として受注した工事のうち、下請契約の総額が「5,000万円(税込)以上(建築一式工事の場合8,000万円(税込)以上」となる場合に必要です。 - 一般建設業許可で足りるケース
下請契約しか結ばない場合、または下請業者を使わず自社のみで施工する場合は一般建設業で足ります。
2. なぜ「特定」という厳しい区分があるのか
特定建設業許可が設けられている最大の目的は、「下請業者の保護」です。
大きな工事の元請会社が倒産したり、不当に代金を支払わなかったりすると、その下に連なる多くの中小下請業者が連鎖倒産するリスクがあります。そのため、多額の下請契約を結ぶ元請会社には、より高い「財務能力」と「技術管理能力」を求めるルールになっています。
3. 許可要件の決定的な違い
特定建設業許可を取得するには、一般建設業よりも格段に厳しいハードルが2つあります。
① 財産的基礎(財務要件)
特定建設業は、以下の4つの基準をすべて満たし、かつ決算ごとに維持し続ける必要があります。
- 欠損の額が資本金の20%を超えないこと
- 流動比率が75%以上であること
- 資本金の額が2,000万円以上であること
- 自己資本の額が4,000万円以上であること
一般建設業の場合、「自己資本500万円以上(または500万円以上の資金調達力)」という基準のみであるため、特定建設業の財務ハードルは非常に高いと言えます。
② 営業所技術者の資格要件
特定建設業の営業所技術者になるためには資格・実務経験ともに一般建設業よりもよりハードルの高い ものが求められます。
- 一般: 指定の資格保有者、または10年以上の実務経験者。
- 特定: 原則として「1級」国家資格保持者(1級施工管理技士、技術士など)に限られます。
また実務経験による認定は、指導監督的実務経験(2年)が必要ですが、指定建設業7業種(土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園)については、実務経験による特定許可取得は認められず、必ず1級資格者等が必要です。
4. 施工現場における義務の違い(監理技術者の配置)
特定建設業許可が必要な工事現場では、一般建設業で配置される「主任技術者」に代わり、より上位の「監理技術者」を配置しなければなりません。
監理技術者は下請業者が多数入る複雑な現場において、適切な工程管理や安全管理、技術指導を行う責務を負います。2026年現在、監理技術者の専任義務については、「監理技術者補佐」を配置することで複数の現場を兼務できる制度も活用されていますが、監理技術者補佐として認められる資格要件の厳しさは大きくは変わりません。
5. どちらの許可を目指すべきか?
建設業事業者の事業戦略や企業規模によって選択は分かれます。
- 特定建設業を視野に入れる必要があるケース
- ゼネコンや中堅建設会社として、官公庁や大規模民間工事を元請で受注したい。
- 今後、1件あたりの請負規模を拡大し、多くの協力会社を管理する立場で動きたい。
- 一般建設業で問題の無いケース
- 主に下請として工事に参画する。
- 元請であっても、住宅リフォームや小規模な修繕工事が中心である。
- 自社施工の割合が高く、多額の外注(下請)を出さない。
6. 注意すべき「業種別」の許可
建設業許可は29の業種に分かれており、自社が必要な業種について業種ごとに分かれて取得することになります。
「土木一式は特定で欲しいけど、内装仕上は一般で十分だなぁ…」というように、業種ごとに一般と特定を使い分けること(混在)が可能です。
ただし、同一業種について「一般と特定の両方」を持つことはできません。
まとめ
建設資材の価格高騰により下請代金合計で特定許可の基準(5,000万円)を超えてしまい、意図せず建設業許可となってしまうケースがあります。「無許可での特定工事受注」とならないよう、受注計画時の予算精査やこれまで以上に求められています。
「ギリギリ特定建設業の基準を超えないから大丈夫だろう」と思っていても、追加工事などで結果的に超えてしまうと業法違反となってしまうため自社規模や工事の規模が大きくなってきたら早めに許可を取得しておく必要があります。
まずは、現状の財務状況を直近の決算書から判断し、その他技術的・人的両面で特定建設業許可の要件をクリアできているかチェックすることから始めましょう。
ただ特定建設業のハードルは非常に高く、財務要件の計算や資格者の配置など一般建設業以上に管理する要素が多岐にわたるため建設業に精通した専門家への相談をおすすめします。
当事務所では特定建設業の相談はいつでも無料にて承っております。
「ウチでも特定建設業の許可が取れるかな?」というご相談はどうぞお気軽にお問い合わせください。

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