建設業許可の業種追加申請において注意すべき最大のポイントは、行政から見れば既存の許可が適正に維持・営業されているかを改めて厳格に審査される機会」であり、単に書類を足すだけの簡単な手続きではない点です。

新規申請時とは、審査される要件の重点や実務上の負担が異なる点がいくつかあります。以下に、新規申請との比較を交えながら、業種追加時に注意すべき重要なポイントを詳しく解説します。


1. 営業所技術者等(旧・専任技術者)の要件と実務経験の重複不可

業種追加において、最も不許可や遅延の原因になりやすいのが営業所技術者等(旧・専任技術者)の配置です。

  • 新規申請との違い:
    新規申請では、会社として初めて特定の1業種(または複数)に対して技術者を配置します。しかし、業種追加では「既存の業種」と「新しく追加する業種」の技術者をどう配置するかが問題となります。
  • 注意すべき点(実務経験の重複不可):
    追加したい業種の要件を国家資格ではなく「10年の実務経験」で証明する場合、期間の重複カウントが認められません
    たとえば、1人の技術者が過去10年間で「内装」と「塗装」の両方を経験していたとしても、10年という同じ期間で2業種同時に実務経験としてカウントすることは不可能です。

    2業種を1人でカバーするには計20年分の実務経験証明書(契約書や請求書等)が必要となるため、資格保有者を新たに雇うか、別の社員を配置する方が現実的です。

2. 経営業務管理責任体制(経管)の「現状維持」の確認

経営業務の管理責任者等に関する要件は、新規時に比べると書類上は簡素化されますが、別の落とし穴があります。

  • 新規申請との違い:
    新規申請では、5年以上の経営経験などを証明するために大量の過去の確定申告書や決算書を用意せねばならず、新規申請時の大きなハードルとなります。
    一方、業種追加では既に経管の要件をクリアしているため、追加する業種ごとに新たな経営経験を証明し直す必要はありません。経管の要件は全業種共通の「建設業全般の経営経験」で判断されるからです。
  • 注意すべき点:
    書類が楽になる反面、「現在の経管体制が適正に維持されているか」が厳しく見られます。
    もし過去に取締役の交代や本店の移転などがあったにもかかわらず、義務付けられている「変更届」を提出していなかった場合、まずは適切な変更届を提出しなければ業種追加の申請を行うことができません。

3. 財産的基礎要件の「再確認」

お金に関する要件(財産的基礎)の扱いも、申請を行うタイミングによって注意が必要です。

  • 新規申請との違い:
    一般建設業の新規申請では、「自己資本が500万円以上あること」を示すために、申請直前の「残高証明書」などを提出して経済的な信用を証明します。
  • 注意すべき点(新規後5年以内の再審査):
    既存の許可を取得してから5年以内に業種追加を行う場合、改めて財産的基礎(500万円以上の資金力)を満たしていることの証明(直近の財務諸表や残高証明書など)を求められます。新規申請時にギリギリで500万円を用意し、その後に赤字が続いて財産要件を大きく割り込んでいるような場合は、業種追加のタイミングで財産要件に問題が生じてしまうリスクがあります。

4. 決算変更届(事業年度終了届)の提出状況

業種追加の申請をスムーズに進める上で、毎年の義務を果たしているかについても問われます。

  • 新規申請との違い:
    新規申請はまだ許可を持っていない状態であるため、当然ながら過去の建設業法に基づく決算変更届の提出は求められません。
  • 注意すべき点:
    許可業者には、毎事業年度終了後4か月以内に「決算変更届(事業年度終了届)」を提出する義務があります。業種追加の申請時、この決算変更届が1期分でも未提出になっていると、審査が進みません。特に何年も業種追加や更新をしておらず、決算変更届を放置していた事業者は数年分の決算報告をすべて遡って提出し終えてからでなければ業種追加の手続きに移ることができません。

5. スケジュール管理と「許可の一本化」

業種追加特有の制度として「許可の一本化」があり、これを利用するか否かでその後の管理の手間が変わります。

  • 新規申請との違い:
    新規申請では、その日に新しく5年間の有効期間がスタートします。
  • 注意すべき点:
    既存の許可がある状態で普通に業種追加をすると、元の業種と新しい業種で「有効期間の満了日」がバラバラになってしまい、将来の更新手続きが非常に面倒になります。
    もし現在走っている許可の有効期間が気にならないのであれば、管理的側面で許可の一本化により建設業許可の期間を1つにしてしまうことが推奨されます。

まとめ

業種追加は、行政手数料(知事許可・一律5万円)が新規申請(9万円)より安く、一見するとハードルが低そうに思えます。
しかし実態は、これまでの経営や決算報告を法律通りに正しくやってきたか」の通信簿を見られるような手続きです。技術者の確保はもちろんのこと、過去の変更届や決算変更届に漏れがないかを事前に総点検することが、業種追加を成功させる最大の鍵となります。

もちろんそれ以外にも建設業許可の業種追加には様々な制約があります。

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