結論から申し上げますと、過去に破産歴(自己破産など)があっても、すでに「復権」を得ていれば、建設業許可を取得するうえで直接的な悪影響はありません

建設業許可の取得可否は、破産の「過去の履歴」ではなく、「現在、破産手続き中(復権を得ていない状態)であるか」という点によって判断されます。

この記事では破産したことによる影響が建設業許可に与える影響、条件、注意点について、法的な観点や実務的な要件を交えながら詳しく解説します。


1. 建設業許可と「欠格要件」の基本ルール

建設業許可を取得するためには、建設業法で定められた厳しい「要件」をクリアする必要があります。その中に「欠格要件に該当しないこと」という項目があります。

欠格要件とは、「このような条件に当てはまる人には許可を出せない」という排除規定です。

建設業法第7条において、この欠格要件の筆頭に挙げられているのが破産者で復権を得ないものです。

  • 破産手続き中の人:許可を取得できません(欠格要件に該当するため)。
  • すでに復権している人:問題なく許可を取得できます(欠格要件から外れるため)。

つまり、「一度破産したら一生許可が取れない」というわけではなく、手続きが完了して法律上の権利が回復していれば、破産歴そのものが不許可の理由になることはありません。

2. 「復権」とはどのような状態か

復権とは、破産手続きによって制限されていた公私の資格や権利を再び取り戻すことを言います。

個人の自己破産の場合、裁判所から「免責許可の決定」が下され、それが確定した時点で自動的に復権します。免責許可とは、借金の返済義務を免除する決定のことです。

なお、復権しているかどうかは、本籍地の市区町村役場が発行する「身分証明書」(破産通知を受けていないことを証明する公的書類)を提出することで行政庁に証明します。

3. 社内の「誰」が破産手続き中だと影響するか

建設業許可における欠格要件のチェックは、申請者本人だけでなく、経営に実質的な影響力を持つ「役員等」全員に対して行われます。

具体的に、以下の立場の人が「破産手続き中(復権前)」である場合、許可の取得や維持に影響が出ます。

立場・役職 破産手続き中(復権前)の影響復権後の影響
個人事業主(本人)自身が欠格要件となるため、新規許可の取得は不可能です。問題なく取得可能です。
法人の役員等
(取締役など)
その役員が在籍している限り、会社としての許可取得はできません。問題なく役員を継続し、許可を取得できます。
経営業務の管理責任者(常勤役員等)経営業務の管理責任者は役員である必要があるため、就任・維持ができません。経験年数等の要件を満たしていれば就任可能です。
営業所技術者例外的に、単なる一般社員(役員ではない)として配置する場合は、破産手続き中であっても就任可能です。問題なく就任可能です。

営業所技術者(営業所に常勤する技術的な責任者)は、会社の「役員等」に含まれない一般社員であれば、建設業法上の欠格要件の直接的な対象にはなりません

そのため、技術者が破産手続き中であっても、そのこと自体で会社が不許可になることはありません。ただし、その営業所技術者が「取締役」を兼ねている場合は、役員としての欠格要件に引っかかるためアウトとなります。

4. 過去の経営経験・実務経験の証明書類への影響

許可取得に必要な「経営業務の管理責任者(5年以上の経営経験)」や「営業所技術者(10年以上の実務経験)」を自身の過去の経歴で証明する場合、過去の書類が残っているかが重要な分岐点となります。

破産手続きの過程で、過去の会社の確定申告書、工事請負契約書、注文書、通帳などの書類一式を処分・紛失してしまっているケースが多々あります。
行政庁に「過去にこれだけ経営や実務の経験があります」と申請しても、それを裏付ける当時の客観的な契約書類や確定申告書の控えが提示できなければ、要件を満たしていると認められず、不許可(または申請受付不可)になってしまいます。

過去に経営していた会社が破産したようなケースでは、当時の書類が破産管財人によって処分される前に、写しを確保しておくなどの対策が不可欠です。

5. すでに許可を持っている会社で破産が起きた場合の注意点

これから許可を取るのではなく、すでに建設業許可を持っている会社において、役員が個人の自己破産手続きを始めた場合は非常に危険です。

手続きが始まった時点でその役員は「復権を得ていない破産者」となり、会社の欠格要件に該当してしまいます。この状態となってしまうと、会社が持っている建設業許可そのものが取り消されてしまいます。

これを防ぐためには、その役員を一度取締役などの役職から退任させる手続きをとらなければなりません。復権した後に、再度取締役に就任させる段取りをする必要があります。

まとめ

破産歴があっても、裁判所の免責決定(復権)さえ終わっていれば、建設業許可は問題なく取得できます

ただし、破産手続き中の一時的な期間は役員等になれないこと、破産後は融資が受けづらいため「500万円の財産要件」を自前の現金や資本金でクリアしなければならないこと、過去の証明書類の紛失に注意しなければならないこと、という3つの課題が残ります。

これらをクリアできれば、行政庁から堂々と許可を受け、事業をリスタートすることが可能です。

もちろん、建設業許可には他にも様々な要件や規制があります。

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